今から二千二百年前の中国、初めての統一王朝・秦の時代に、一人の男が始皇帝の命を受け、東方海上に浮かぶ「蓬莱の島」をめざして出航しました。
 目的の島は神々が住み、不老不死の霊薬が実る楽園なのです。
 始皇帝の望んだ霊薬と蓬莱の島を結ぶ男、徐福とは・・・。

 夢の扉を開く鍵は、瀬戸内海に浮かぶ孤島「祝島」の三浦湾の渓谷深くに、今もひっそりと自生するコッコーという木の実。別名は千歳。一粒食べれば千年長生きするというこの奇果を、徐福は探し求めて海を渡ったのです。
 季節は春、満開の桜の下で徐福は石に刻みを入れて将棋を指しながら、秋の結実を待ちました。

 さて、徐福が訪れてからおよそ千年後、時は天平。祝島は海上守護の霊島として崇められ、万葉集にも歌われています。
  「草枕 旅ゆく人を 伊波比島 幾代経るまで 斎ひ来にけむ」
 当時、祝島の「祝」の文字は、心身を清め、事の良くなることを祈る意味で使われ、今日でもその名残で祝(ほうり)という神職が残っています。

 蓬莱の島に住む神々は今も生き続け、この霊島祝島の豊饒の遺産を守り続けながら、新しい旅人の訪れる日を心待ちにしています。
 皆様も、方士徐福の夢が果てしなく続く、この祝島で素晴らしい夢の続きを見ませんか・・・。